いのりのもり祈りの杜仮称

祝詞・岡吉胤『祝詞全書』(1897年)

恵美須神祭えびすのかみのまつり

この祝詞は八重事代主命を恵美須神として拝する本文です。十月二十日の祭り、商いと家の守りが記されます。蛭子神など別の祭神を祀る全てのえびす社に共通する祝詞ではありません。明治期の本文の言葉遣いを残しています。

掛巻(かけまく)も畏(かしこ)き都味歯(つみは)八重事代主命(やへことしろぬしのみこと)の大前(おほまへ)に

恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(まを)さく

皇睦(すめむつ)神漏岐(かむろぎ)神漏美(かむろみ)の命(みこと)を以(もち)て

皇御孫命(すめみまのみこと)は豊葦原(とよあしはら)の水穂(みづほ)の国(くに)を

安国(やすくに)と平(たひら)けく所知食(しろしめせ)と事(こと)依(よさ)して

天降(あも)し賜(たま)ふ時(とき)に

大神(おほかみ)は出雲国(いづものくに)三穂(みほ)の崎(さき)に

鳥遊(とりあそび)魚取(うをとり)遊楽(たのし)み坐(ま)しを

立処(たちどころ)に葦原(あしはら)の中国(なかつくに)を皇御孫命(すめみまのみこと)に奉(まつ)り坐(ま)して

父大神(ちちおほかみ)と共(とも)に事避(ことさ)り坐(ま)しは

最(いと)も畏(かしこ)く君親(きみおや)に忠誠(まこと)なる道(みち)を顕(あらは)し坐(ま)しし

広(ひろ)き厚(あつ)き神徳(みいつ)を仰(あふ)ぎ尊(たふと)み貴(たかき)も賤(ひくき)も

家々(いへいへ)の神棚(かみだな)に斎(いつ)き奉(まつ)れるを

十月(かむなづき)廿日(はつかのひ)はしも恵美須祭(えびすまつり)と称(たた)へ奉(まつ)りて

市人等(いちびとら)の御祭(みまつり)仕(つかへ)奉(まつ)らくを

平(たひら)に安(やすら)に聞食(きこしめ)して

商(あきなひ)の業(わざ)を守(まも)り給(たま)ひ

清(きよ)き明(あか)き真心(まこころ)に家(いへ)をも身(み)をも令治(をさめしめ)賜(たま)ひて

樛(つが)の木(き)の弥嗣々(いやつぎつぎ)に絶(たゆ)る事(こと)無(な)く

堕(おつ)る事(こと)无(な)く富栄(とみさかえ)仕(つかへ)奉(まつ)らしめ給(たま)へと

今日(けふ)の朝日(あさひ)の豊栄登(とよさかのぼ)りに

称辞(たたへごと)竟(をへ)奉(まつ)らくと

恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(まを)す

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