いのりのもり祈りの杜仮称

祝詞・草鹿砥宣隆撰・賀茂経春閲『祭文例』(1869年)

祈癒病五章・第二章(きゆびょうごしょう・だいにしょう)(1869年刊本(ねんかんぽん))

村の内で病が流行した時に、幣帛を供え、病が広がらず苦しむ人が癒えるよう願う歴史的な詞です。本文の病に関する言葉は、当時の祈願の内容です。

掛(かけまく)も畏(かしこ)き吾大神(わがおほかみ)の大前(おほまへ)に、恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(まを)さく。

此(こ)の里(さと)はしも吾大神(わがおほかみ)の鎮坐(しづまりまし)て、神随(かむながら)霊幸(たまちは)へ坐(ま)す里(さと)にし有(あ)れば、浦安(うらやす)き楽(たのし)き里(さと)と、、氏子(うぢこ)の諸人等(もろびとら)、喪(も)なく事(こと)なく有経(ありへ)しを、頃日(このごろ)村内(むらうち)に病起(やまひおこり)て、人多(ひとさは)に失(うせ)ぬ。此(こ)を思(おも)ふに、

吾大神(わがおほかみ)の氏子等(うぢこら)を守(まもり)給(たま)ひ幸(さきはへ)給(たま)ふ高(たか)き貴(たふと)き恩頼(みたまのふゆ)を被(かがふ)りてし、此(こ)の病(やまひ)は止(やむべ)しと、恐(かしこ)じ物思議(ものおもはかり)て、今日(けふ)の生日(いくひ)の足日(たるひ)に、礼代(ゐやじろ)の幣(みてぐら)を捧持(ささげもち)て、広(ひろ)く厚(あつ)く称辞竟奉状(たたへごとをへまつるありさま)を、大神(おほかみ)の御心(みこころ)に平(たひら)けく安(やすら)けく聞召(きこしめせ)と白(まを)す。

如此(かく)仕奉(つかへまつ)るに依(より)て、従今後(いまよりのち)は村中(むらうち)に此(こ)の病(やまひ)保毘許(ほびこ)る事(こと)なく、悩(なや)む物(もの)をば速(すむやけ)く癒(いやし)給(たま)ひ直(なほし)給(たま)ひて、堅石(かきは)に常石(ときは)に命長(いのちなが)く、夜守(よのもり)日守(ひのもり)に守(もり)幸(さきはへ)給(たま)へと、恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(まを)す。

1869年刊本:名古屋大学附属図書館・国文学研究資料館、PDM。古典の文字のみを独自に組版。

出典・参考資料