いのりのもり祈りの杜仮称

祝詞・1911年刊・原本の読み

庚申祓かうしんのはらひ

1911年刊『神道太祓大全:神拝祝詞』から。原本の万葉仮名の助詞・送り仮名を読み下し、句読点と段落を補っています。歴史的仮名遣いと、この版の字句を残しています。 冒頭の庚申の説明も含めて収録しています。「口隠れ」などは底本の字句・読みを残し、『日本書紀』など別の本文の表現に置き換えていません。

天津祖(あまつみおや)猿田彦太神(さるだひこだいじん)

夫(それ)庚申(かうしん)とは怒(いかり)を去(さ)るを云(い)ふ高神待(こうしんまち)は遍(あまね)く天(てん)を祭(まつ)ることぞ則(すなは)ち智父母(ちふぼ)なれば是(これ)を祭(まつ)るを孝心(かうしん)と云(い)ふ然(しか)り福祿寛樂(ふくろくくわんらく)に住(すみ)て道祖神(だうそじん)の惠(めぐみ)に叶(かな)ふ

○謹請(きんじやう)再拜再拜(さいはいさいはい)

掛卷(かけまく)も畏(かしこ)き天地開闢(あめつちひらけて)道祖太神(みちのおやだいじん)猿田彦命(さるたひこのみこと)の宇豆(うづ)の廣前(ひろまへ)に恐(おそれ)み恐(おそれ)みも申(まう)す

高天原(たかまがはら)に神留座(かみとゞまりましま)す皇親(すめむつ)神漏岐(かみろぎ)神漏美(かみろみ)の尊(みこと)をもつて天(あめ)の高市(たかいち)に八百萬(やほよろづ)の神等(かみたち)を神集(かむあつめ)に集給(あつめたま)ひ神議(かむはかり)に議(はかり)給(たま)ひて

吾皇孫(わがすめみま)の尊(みこと)をもつて豐葦原(とよあしはら)の水穗(みづほ)の國(くに)を安國(やすくに)と平(たひら)けく所知食(しろしめせ)と天(あま)の磐座(いはくら)押放(おしはなち)天(あま)の八重雲(やへくも)を伊豆(いづ)の道別(ちわき)に道別(ちわき)て天降依之奉(あまくだりよさしたてまつり)し時(とき)

天(あま)の八衢(やちまた)の衢(ちまた)に立迎座(たてむかへましま)す神(かみ)鼻(はな)の長(なが)さ七尺(なゝはた)背(せ)の長(なが)さ七尋餘(ななひろあまり)亦(また)口隱(くちかく)れ明(あか)り照(て)り眼(まなこ)は八咫(やた)の鏡(かがみ)の如(ごと)く光耀(てりかゞやく)こと赤酸醬(あかかがち)に似(に)たり

天(あま)つ神(かみ)の皇御孫(すめみま)を奉迎(むかへたてまつり)て相待(あひまつ)朝日(あさひ)の來向(きむかふ)夕日(ゆふひ)の照(てら)す日向(ひうが)の高千穗(たかちほ)の櫛觸(くしふる)の嶽(たけ)に導給(みちびきたま)ひ逐(つひ)に伊勢(いせ)の狹長田(さながた)五十鈴(いすず)の川上(かはかみ)に鎭定(しづまりさだま)り

日(ひ)の神(かみ)の道(みち)を慎(つつし)み敬(うやま)ひ給(たま)ふ天下(あめがした)の地君(つちぎみ)成(なる)が故(ゆゑ)に國底立神(くにそこたちのかみ)と名(なの)り給(たま)ふ

不視(みざる)不聽(きかざる)不言(いはざる)混沌(こんとん)の始(はじめ)を守(まも)り時隨(ときにしたが)ひ出座(いでまし)て氣(いき)の神(かみ)と號給(なのりたま)ひ

根(ね)の國底(くにそこ)の國(くに)より荒(あら)び疎(うと)び來者(きたるもの)を降伏(したが)へ守(まも)りて怒猛神(おにかみ)と名(なの)り給(たま)ひ

生(いけ)る物(もの)の為(ため)には身命(みのいのち)福德(さいはひ)を授(さづ)けて太田(おほた)の神(かみ)と號給(なのりたま)ふ

能(よ)く神靈(みたましひ)を返(かへ)して興玉(おきたま)の神(かみ)と號給(なのりたま)ふ是(これ)皆(みな)自然(おのづから)の御名(みな)にして物(もの)皆(みな)證顯(しるし)有(あ)りと奉辭稱竟(たゝへことをたてまつる)

宇豆(うづ)の御食(みけ)宇豆(うづ)の神酒(みき)宇豆(うづ)の幣帛(みてぐら)を朝日(あさひ)の豐榮登(とよさかのぼり)に捧持(ささげもち)て奉(たてまつ)り稱辭竟(たたへごとをへ)平(たひら)けく安(やす)らけく知聞食(きこしめせ)と天(あま)の八平手(やひらで)を打(うち)て奉(たてまつ)る

皇御孫(すめみま)の尊(みこと)を導(みちび)き守給(まもりたま)ひて天(あめ)が下(した)四方(よも)の國(くに)安(やす)く穩(おだやか)に某(なにがし)が家内(いへのうち)より起(おこ)る騷擾(さはぎ)無(な)く外(ほか)より來(きた)る災(わざはひ)無(な)く夜(よる)の守(まもり)晝(ひる)の守(まもり)神直日(じんなをひ)大直日(おほなをひ)五十鈴(いすず)の道(みち)に導(みちび)き壽(ことぶき)惠(めぐ)み幸給(さきはひたま)へと祈禱申事(いのりまうすこと)を平(たひら)けく安(やす)らけく駒率立(こまひきたて)て所聞食(きこしめせ)と慎(つつし)み慎(つつし)み恐(おそれ)み恐(おそれ)みも申(まう)す

底本:国立国会図書館デジタルコレクション、保護期間満了(PDM)。現代刊の『神道大祓全集』とは別の資料です。

ゆかりの神仏

出典・参考資料