いのりのもり祈りの杜仮称

祝詞・岡吉胤『祝詞全書』1897年

新宅祭しんたくさい

屋船豊受比売大神・手置帆負命・彦狭知命・産土大神を新居へ迎え、供物を捧げ、家と家族の安穏を願う文例です。人家上棟祭とは別に、新しい家の完成を祝う本文として掲載しています。

新居へ神々を迎える(しんきょへかみがみをむかえる)

掛(か)けまくも畏(かしこ)き屋船豊受比売大神(やふねとようけひめのおおかみ)手置帆負命(たおきほおいのみこと)彦狭知命(ひこさしりのみこと)此地(このところ)を領坐(うしはきま)す産土大神(うぶすなのおおかみ)を是(これ)の奥床(おくとこ)に招奉(おきまつ)り坐奉(ませまつ)りて畏(かしこ)み畏(かしこ)みも白(もう)さく。

大神等(おおかみたち)の天津御量(あまつみはかり)を以(もち)て事始(ことはじ)め給(たま)いしに随(したが)いて大峡小峡(おおかいおかい)に生立(おいたて)る大木小木(おおきおき)を伐取(きりと)り持来(もちき)て是(これ)の新室(にいむろ)を築営(つきいとな)み造竟(つくりお)えて。

今日(きょう)の生日(いくひ)の足日(たるひ)に莫留(もちた)る飾帛(かざりぬさ)は明妙照妙和妙荒妙(あかるたえてるたえにぎたえあらたえ)御酒(みき)は甕(みか)の上高知(うえたかし)り御饌(みけ)は平瓮(ひらか)に弥盛(やもり)海川野山(うみかわぬやま)の味物(ためつもの)を案代(つくえしろ)に置足(おきたら)わし仕奉(つかえまつ)らくを平(たいら)けく安(やす)けく聞食(きこしめ)して。

天突立(あまつきた)てる柱(はしら)の傾(かたぶ)き朽(く)てる事(こと)無(な)く取葺(とりふ)ける萱(かや)の洩(もれ)なく桁梁戸扉(けたはりととびら)の錯動(たがいゆるぎ)鳴事(なること)無(な)く夜女(やめ)の伊須々岐(いすすき)伊都久之(いつくし)き事(こと)無(な)く。

大風洪水(おおかぜおおみず)の禍事(まがこと)無(な)く地震香具土(ないかぐつち)の災害(わざわい)無(な)く子孫(うみのこ)の八十続(やそつづき)に向栄(むかえ)の立栄(たちさかえ)に夜守日守(よまもりひまもり)に護恵幸給(まもりめぐみさきわいたま)わむと畏(かしこ)み畏(かしこ)みも事祝奉(ことほぎまつ)らくと白(もう)す。

保護期間満了の古典本文を独自に組版。現代語訳と英訳はこの杜が作成。

出典・参考資料