いのりのもり祈りの杜仮称

祝詞・岡吉胤『祝詞全書:試験科目』(1897年)・歴史的仮名遣い

大国主神祭(甲子祭)おおくにぬしのかみのまつり(きのえねさい)

大国主大神に呼びかけ、国づくりや幽事を治める働きをたたえ、家の安らぎを願う明治期の文例です。見出しに「甲子祭」とあり、本文には「子日」を御祭日とすると記されます。現在の出雲大社・各神社に共通する祭典次第や、唱える時刻・回数を定めるものではありません。旧字体と助詞・語尾を読みやすく整え、底本の歴史的仮名遣いを残しています。

掛(か)けまくも畏(かしこ)き大国主大神(おほくにぬしのおほかみ)の大前(おほまへ)を慎(つつし)み敬(ゐやま)ひ畏(かしこ)み畏(かしこ)みも白(まを)さく

汝命(ながみこと)は父大神(ちちおほかみ)の詔(みことのり)のまにまに世(よ)の荒振神等(あらぶるかみたち)を言平和(ことむけやは)して大国主(おほくにぬし)と成(な)り給(たま)ひ

少彦名命(すくなひこなのみこと)と同心戮力(こころひとつにちからあはせ)坐(ま)して国土(くに)を経営(いとな)み

顕見蒼生(うつしきあをひとぐさ)の為(ため)畜産(けもの)の為(ため)に病(やまひ)を治(をさむ)る方(かた)を定(さだ)め給(たま)ひ

又(また)薬(くすり)の法(のり)禁厭(まじなひ)の術(わざ)をも始(はじ)め給(たま)ひて大造(おほき)なる功績(いさを)の樹(た)て給(たま)ひ

又(また)皇孫命(すめみまのみこと)の天降(あまくだ)り坐(ま)し時(とき)には天神(あまつかみ)天祖(あまつみおや)の神勅(みことのり)を畏(かしこ)み坐(ま)して現事(うつしごと)を避(さ)り奉(まつ)り給(たま)ひ

天津神(あまつかみ)の慇懃(ねもごろ)なる神勅(みことのり)に依(よ)りて幽事(かくりごと)を所知食(しろしめ)さむと百不足(ももたらず)八十隈手(やそくまで)に隠(かく)り給(たま)ひ

出雲(いづも)の八百米(やほこめ)杵築宮(きづきのみや)と天日隅宮(あめのひすみのみや)と定(さだ)めて鎮(しづ)まり給(たま)ひ

幽冥(かくりよ)の事(こと)執(と)り坐(ま)しては大地(おほつち)の官(つかさ)と成(な)りて海(うみ)の内外(うちと)の人魂(ひとだま)を代(かは)り総統御(すべしろしめ)給(たま)ひて

神代(かみよ)も今代(いまよ)変(かは)る事(こと)なく夜(よ)の守(まもり)日(ひ)の守(まもり)に守(まも)り奉(まつ)り給(たま)へる神功(かむいさを)を仰(あふ)ぎ尊(たふと)み奉(まつ)りて

万世(よろづよ)の今(いま)に至(いた)るまで子日(ねのひ)を御祭日(みまつりび)と定(さだ)めて

いつの真屋(まや)に注連(しめ)引延(ひきは)へ木綿(ゆふ)取垂(とりし)でて奠(たてまつ)る幣帛(みてぐら)を安幣帛(やすみてぐら)の足幣帛(たるみてぐら)と聞食(きこしめ)して

家内(いへぬち)穏(おだひ)に子孫(うみのこ)の親族(うからやから)は各(おの)が乖々(むきむき)令有(あらしめ)不給(たまはず)

病(やま)しき事(こと)无(な)く煩(わづら)はしき事(こと)无(な)く寿(いのち)長(なが)く富栄(とみさか)え令仕奉給(つかへまつらしめたま)へと

称辞竟奉(たたへごとをへまつ)らくを平(たひら)けく安(やすら)けく聞食(きこしめ)さえと畏(かしこ)み畏(かしこ)みも白(まを)す

国立国会図書館所蔵・保護期間満了(PDM)の1897年刊本をもとに、本文と読みを独自に組版。やさしい説明は本サイトによる要約です。

ゆかりの神仏

出典・参考資料