いのりのもり祈りの杜仮称

ダンマパダ「悪の章」

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関西パーリ語実習会 日本語訳

葉から落ちる一滴の水が、石の上の器に小さな波紋を広げる。
小さな善い行いも、重ねれば心を満たしてゆく。第122偈の、水滴が器を満たすたとえから。

日本語訳の本文

悪の章

SC 116 善きことにおいて急ぐように。悪から、心を防護するように。なぜなら、善を遅く為している者の意は、悪において喜ぶからである。

SC 117 もし、人が、悪を為すなら、繰り返し、その〔悪〕を為さないように。その〔悪〕について、欲〔の思い〕を為さないように。悪を積み重ねることは、苦痛である。

SC 118 もし、人が、善を為すなら、繰り返し、その〔善〕を為すように。その〔善〕について、欲〔の思い〕を為すように。善を積み重ねることは、安楽である。

SC 119 〔自己の為した〕悪しき〔行為〕が煮られない、それまでのあいだ、悪しき者もまた、幸いを見る。しかしながら、〔自己の為した〕悪しき〔行為〕が煮られる、そのとき、そこで、悪しき者は、諸々の悪(不幸)を見る。

SC 120 〔自己の為した〕幸いなる〔行為〕が煮られない、それまでのあいだ、幸いなる者(善人)もまた、悪(不幸)を見る。しかしながら、〔自己の為した〕幸いなる〔行為〕が煮られる、そのとき、そこで、幸いなる者は、諸々の幸いを見る。

SC 121 「それは、わたしに帰ってこないであろう」〔と〕、〔自己の為す〕悪しき〔行為〕を軽く考えてはならない。水瓶でさえも、水滴の落下で満ち溢れる。たとえ、少しずつでも、〔行為を〕蓄積しながら、愚者は、悪〔の報い〕に満ち溢れる。

SC 122 「それは、わたしに帰ってこないであろう」〔と〕、〔自己の為す〕善き〔行為〕を軽く考えてはならない。水瓶でさえも、水滴の落下で満ち溢れる。たとえ、少しずつでも、〔行為を〕蓄積しながら、慧者は、善〔の報い〕に満ち溢れる。

SC 123 〔人員〕少なき隊商にして、〔かつまた〕大財ある商人が、〔危険に満ちた〕恐怖の道を〔避ける〕ように⸺〔長く〕生きることを欲する者が、毒を〔避ける〕ように⸺諸々の悪を遍く避けるがよい。

SC 124 もし、手に傷が存在しないなら、手で毒を運ぶことができる。傷なき者に、毒が従い行くことはない。〔悪を〕為さずにいる者に、悪は存在しない。

SC 125 彼が、汚れなき人を汚すなら、清浄で穢れなき人を〔穢すなら〕(怒りなき者に怒り、悪意なき者に悪意を抱くなら)、まさしく、その愚者に、悪は戻り来る⸺風に逆らって投げられた微細な塵が、〔投げた者自身に戻り来る〕ように。

SC 126 或る者たちは、〔母の〕胎に生起する。悪しき行為( 悪業 )ある者たちは、地獄に〔落ちる〕。善き境遇( 善趣 )の者たちは、天上に行く。煩悩なき者たちは、完全なる涅槃に到達する。

SC 127 空中に〔見出され〕ず、海中に〔見出され〕ず、山々の〔岩の〕裂け目に入っても〔見出され〕ない⸺そこにおいて止住する者が、〔自己の為した〕悪しき行為から解き放たれる、その〔場所〕は、地上における〔どの〕地域も、見出されない。

SC 128 空中に〔見出され〕ず、海中に〔見出され〕ず、山々の〔岩の〕裂け目に入っても〔見出され〕ない⸺そこにおいて止住する者を、死魔が打ち負かすことなき、その〔場所〕は、地上における〔どの〕地域も、見出されない。

悪の章が第九となり、〔以上で〕終了となる。

この杜による要点

本文の下の「要点」は、パーリ語本文と対訳を参照し、この杜が自分の言葉でまとめたものです。訳文の引用ではなく、読み方の一つの手がかりとしてお読みください。語の解釈が複数ある箇所では、掲載訳と要点の読み方が異なることがあります。

対応する本文へ 善いことは急いで行い、悪から心を守る。善を行うのが遅い人の心は、悪を楽しむようになるからである。

対応する本文へ 悪をしてしまったら、繰り返さず、それを望まない。悪を積み重ねることは苦しみである。

対応する本文へ 善を行ったら、繰り返し、それを望む。善を積み重ねることは安らぎである。

対応する本文へ 悪い行いの報いが熟す前は、悪人も幸いを見る。報いが熟したとき、悪人は不幸を見る。

対応する本文へ 善い行いの報いが熟す前は、善人も不幸を見る。報いが熟したとき、善人は幸いを見る。

対応する本文へ 「自分には返ってこない」と悪を軽く見てはならない。一滴ずつでも水瓶は満ちる。愚かな人は少しずつ悪を積んで、悪に満ちる。

対応する本文へ 「自分には返ってこない」と善を軽く見てはならない。一滴ずつでも水瓶は満ちる。賢い人は少しずつ善を積んで、善に満ちる。

対応する本文へ 大金を持つ少人数の隊商が危険な道を避けるように、長生きしたい人が毒を避けるように、悪を避ける。

対応する本文へ 傷のない手には毒がしみ込まない、というたとえで、悪い行いをしない人には悪が付着しないことを説く。

対応する本文へ 汚れのない清らかな人を害する愚か者には、その悪が自分に返ってくる。風に逆らって投げた塵が、投げた人に戻るように。

対応する本文へ ある人は母の胎に生まれ、悪を行った人は地獄に落ち、善く生きた人は天に行き、煩悩のない人は安らぎに至る。

対応する本文へ 空の中にも海の中にも山の裂け目にも、自分の悪い行いの報いから逃れられる場所は、この世のどこにもない。

対応する本文へ 空の中にも海の中にも山の裂け目にも、死に打ち負かされずにすむ場所は、この世のどこにもない。

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収録した訳と出典

日本語訳:関西パーリ語実習会(2023年公開版)。公開元:SuttaCentral。全26章・423偈と、収録版の結び・摂頌を掲載。

訳文の文字・補足を保ち、ふりがなをこの杜が読書の補助として添えています。この杜による要点は、訳文と分けて掲載しています。

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