いのりのもり祈りの杜仮称

祝詞・白幡義篤『諸神拝詞記正訓』(1890年)

祭(まつる)恵比須大神(ゑびすのおほかみ)告刀(のりと)(1890年刊本(ねんかんぽん))

摂津国武庫郡西宮広田村に鎮座する恵比須大神に、供物を捧げ、家業の繁栄・家の和やかな暮らし・子孫の長久を願う詞です。本文は正月二十日を祭る日とする、1890年刊本の歴史的な文例です。

摂津国(つのくに)武庫郡(むこのこほり)西宮広田村(にしのみやひろたむら)の下津磐根(しもついはね)に宮柱(みやばしら)太知(ふとしり)、高天原(たかまのはら)に千木高知(ちぎたかしり)て鎮座坐す(しづまります)恵比須大神(ゑびすのおほかみ)の御霊(みたま)を、

某家(それのいへ)の神床(かむどこ)に招奉り(をきまつり)斎き(いつき)奉る(まつる)、宇頭(うづ)の御前(みまへ)に、畏み畏み(かしこみかしこみ)白さく(まをさく)。

今年(ことし)正月(むつき)の廿日(はつか)の日(ひ)を生日(いくひ)の足日(たるひ)と斎ひ(いはひ)定めて(さだめて)、

奥山(おくやま)の真賢木(まさかき)が枝(えだ)に木綿(ゆふ)取垂て(とりしでて)、大神(おほかみ)の御形代(みかたしろ)を坐せ(ませ)奉り(まつり)て、

某(それ)が弱肩(よわかた)に太襷(ふとたすき)取掛けて(とりかけて)、持斎まはり(もちゆまはり)持斎まはり(もちいまはり)持清まはり(もちきよまはり)て、

御食(みけ)御酒(みき)御母比(おもひ)、鰭(はた)の広物(ひろもの)鰭(はた)の狭物(さもの)、甘菜辛菜(あまなからな)種種(くさぐさ)の多米都物(ためつもの)を、平らけく(たひらけく)安らけく(やすらけく)所聞食して(きこしめして)、

漏落む(もれおちむ)事(こと)を、神直日(かむなほび)大直日(おほなほび)に見直し(みなほし)聞直し(ききなほし)坐して(まして)、

家業(いへのなり)を弥栄(いやさか)に昌え(さかえ)しめ給ひ(たまひ)、家内安穏(やぬちやすらか)に、楽しく(たのしく)睦しく(むつしく)、

諸(もろもろ)の凶悪事(まがごと)無く(なく)、萬(よろづ)の障(さはり)無く(なく)、妻子等(めこども)に至る(いたる)まで凶禍(まが)無く(なく)事無く(ことなく)、

寿命(いのち)遠長く(とほながく)しめ給ひ(たまひ)、子孫(うみのこ)の八十連属(やそつづき)弥遠長く(いやとほながく)、伊加志夜具波延(いかしやぐはえ)の如く(ごとく)立栄え(たちさかえ)しめ給ひ(たまひ)、

売買物(うりかふもの)を始めて(はじめて)、金銀(こがねしろがね)食物(をしもの)着物(きるもの)を、蔵(くら)に弥広(いやひろ)に積充め(つみみため)給ひ(たまひ)、

蔵(くら)の棟(むね)弥高(いやたか)に魚鱗(いろこ)の如く(ごとく)造成しめ(つくりなしめ)給ひ(たまひ)て、

夜(よ)の守(まもり)日(ひ)の守(まもり)に護幸へ(まもりさきはへ)給へ(たまへ)と、

鹿自物(かじもの)膝折伏せ(ひざをりふせ)、鵜自物(うじもの)頸根衝抜き(うなねつきぬき)て、恐み(かしこみ)畏み(かしこみ)も乞祈(こひのみ)奉らく(まつらく)と白す(まをす)。

底本:国立国会図書館デジタルコレクション・保護期間満了(PDM)。古典本文を独自に組版。

ゆかりの神仏

出典・参考資料