いのりのもり祈りの杜仮称

ダンマパダ「垢の章」

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関西パーリ語実習会 日本語訳

小さな炉の前で、銀を精錬する職人。
銀の不純物を少しずつ取り除くように、自分の心も少しずつ整えてゆく、というたとえです。

日本語訳の本文

垢の章

SC 235 今や、〔あなたは〕枯葉のような者として存している。そして、夜魔( 閻魔 )の使者たちもまた、あなたを待ち構えている。そして、〔あなたは〕旅路の門に立っている。そして、あなたには、〔旅の〕路銀さえも見出されない。

SC 236 〔まさに〕その〔あなた〕は、自己の洲(依り所)を作れ。すみやかに努めよ。賢者と成れ。〔世俗の〕垢を取り払った〔あなた〕は、穢れなき者となり、天の聖なる境地に近づくであろう。

SC 237 そして、今や、〔あなたは〕衰失に導かれた者として存している。〔あなたは〕夜魔の現前に進み行く者として存している。途中、あなたに、住居は存在しない。そして、あなたには、〔旅の〕路銀さえも見出されない。

SC 238 〔まさに〕その〔あなた〕は、自己の洲(依り所)を作れ。すみやかに努めよ。賢者と成れ。〔世俗の〕垢を取り払った〔あなた〕は、穢れなき者となり、ふたたび、生と老に近づくことはないであろう。

SC 239 思慮ある者は、順次に、瞬間瞬間に、少しずつ、鍛冶屋が銀の〔垢を取り除く〕ように、自己の垢を取り払うがよい。

SC 240 鉄から現起した垢(錆)が、それ(鉄)から出起して、まさしく、それ〔自身〕を喰い尽くすように、このように、諸々の自らの行為( 業 )は、罪行者を、悪しき境遇( 悪趣 )に導く。

SC 241 不誦という垢あるのが、諸々の呪文である。不精という垢あるのが、諸々の家屋である。色艶には、怠惰という垢がある。〔心身を〕守っている者には、放逸という垢がある。

SC 242 婦女には、悪しき行ない(不品行)という垢がある。〔施物を〕施している者には、物惜という垢がある。まさに、諸々の悪しき法(性質)という垢がある⸺この世において、さらに、他〔の世〕において。

SC 243 その垢よりも、さらにひどい垢として、無明という最高の垢がある。比丘たちよ、この垢を捨棄して、無垢の者たちと成れ。

SC 244 生き易きは、恥〔の思い〕がなく、烏の厚かましさがある、厚顔で、傲岸で、尊大で、〔心が〕汚染された者による、生である。

SC 245 しかしながら、生き難きは、恥〔の思い〕があり、常に清らかさを探し求め、陰鬱ならず、尊大ならず、清浄の生き方がある、〔常に真実を〕見ている者による、〔生である〕。

SC 246 彼が、命あるものを殺すなら、さらに、虚偽の論を語るなら、世において与えられていないものを取るなら、さらに、他者の妻のもとに赴くなら⸺

SC 247 さらに、その人が、穀物酒や果実酒などの飲み物に〔自らを〕束縛するなら、この者は、まさしく、ここに、〔この〕世において、自己の根元を掘り崩す。

SC 248 君よ、人士たる者よ、このように知りなさい。〔これらの五者の〕自制なき者たちは、悪しき法(性質)の者たちである。貪り〔の思い〕が、そして、法(正義)ならざる〔生き方〕が、あなたを、長きにわたり、苦しみへと追いやってはならない。

SC 249 人は、まさに、信あるままに、清信するままに、〔布施を〕施す。そこにおいて、彼(布施を受ける者)が、他者たちの飲み物と食料に〔心を〕惑わす者と成るなら(他者と自己の施物を比較して、心を動かすなら)、彼は、昼であろうと、夜であろうと、禅定( 定・三昧 )に到達しない。

SC 250 しかしながら、彼の、この〔汚点〕が断絶され、根元から殲滅され、完破されたなら、彼は、まさに、昼であろうと、夜であろうと、禅定に到達する。

SC 251 貪欲( 貪 )に等しい火は、存在しない。憤怒( 瞋 )に等しい捕捉者は、存在しない。迷妄( 痴 )に等しい網は、存在しない。渇愛に等しい川は、存在しない。

SC 252 他者たちの罪過は見易く、いっぽうで、自己の〔罪過は〕見難い。まさに、彼は、他者たちの諸々の罪過を、あたかも、籾殻のように、〔誇大に〕暴き立て、いっぽうで、自己の〔罪過は〕覆い隠す⸺狡猾な賭博師が、〔悪しき〕賽の目を〔隠す〕ように。

SC 253 他者の罪過を随観し、常に譴責の表象( 想 :概念・心象)ある者⸺彼の、諸々の煩悩は増え行き、彼は、煩悩の滅尽から遠く離れている。

SC 254 まさしく、虚空に、足跡は存在せず、外に、沙門は存在しない。戯論(空想)に歓楽あるのが、〔世の〕人々である。戯論なきは、如来たちである。

SC 255 まさしく、虚空に、足跡は存在せず、外に、沙門は存在しない。諸々の形成〔作用〕( 諸行 :形成されたもの・現象世界)は、常久のものとして存在しない。覚者たちに、〔心の〕動揺は存在しない。

垢の章が第十八となり、〔以上で〕終了となる。

この杜による要点

本文の下の「要点」は、パーリ語本文と対訳を参照し、この杜が自分の言葉でまとめたものです。訳文の引用ではなく、読み方の一つの手がかりとしてお読みください。語の解釈が複数ある箇所では、掲載訳と要点の読み方が異なることがあります。

対応する本文へ 今あなたは枯れ葉のようで、死の使いが待ち構え、旅立ちの門に立っている。しかも旅の蓄えさえない。

対応する本文へ だから自分の拠り所を作り、すぐに励んで賢い人になれ。汚れを落とした人は清らかとなり、天の聖なる境地に近づく。

対応する本文へ 今あなたは衰えて死に向かい、途中に宿もなく、旅の蓄えさえない。

対応する本文へ だから自分の拠り所を作り、すぐに励んで賢い人になれ。汚れを落とした人は清らかとなり、二度と生と老いに近づかない。

対応する本文へ 思慮ある人は、鍛冶屋が銀の汚れを落とすように、一瞬ごとに少しずつ、自分の汚れを落としていく。

対応する本文へ 鉄から生じた錆が鉄自身を食い尽くすように、自分の行いが、罪を犯した人を悪い境遇へ導く。

対応する本文へ 唱える文句は唱えずにいると衰え、家は手入れしなければ荒れる。怠りは容色を損ない、油断は見張りを損なう。

対応する本文へ 不品行は女性の汚れ、物惜しみは施す人の汚れ。悪い性質はこの世でも来世でも汚れとなる。

対応する本文へ それらよりもさらにひどい汚れが無明である。修行者たちよ、この汚れを捨てて、汚れのない人となれ。

対応する本文へ 恥を知らず、烏のように厚かましく、傲慢で心の汚れた人の人生は、生きやすい。

対応する本文へ 恥を知り、清らかさを求め、ひるまず出しゃばらず、清い生計を立ててものごとを見る人にとって、生きることは容易ではない。

対応する本文へ 生き物を殺し、嘘をつき、与えられていないものを取り、他人の妻のもとへ行き、

対応する本文へ 酒に溺れる人は、この世で自分の根を掘り崩している。

対応する本文へ よく知りなさい。自制のない人は悪い性質の人である。貪りと不正が、あなたを長く苦しみへ追いやることのないように。

対応する本文へ 人は信の心に応じて施しをする。受ける側が他人の施しと比べて心を乱すなら、昼も夜も心は定まらない。

対応する本文へ その比べる心を断ち切り、根こそぎにした人は、昼も夜も心が定まる。

対応する本文へ 貪りほどの火はなく、怒りほどの捕らえ手はなく、迷いほどの網はなく、渇愛ほどの川はない。

対応する本文へ 他人の過ちは見えやすく、自分の過ちは見えにくい。人は他人の過ちを籾殻のように吹き立て、自分の過ちはずるい賭博師のように隠す。

対応する本文へ 他人の過ちばかり見てとがめ続ける人の煩悩は増え、煩悩の尽きる境地から遠ざかる。

対応する本文へ 空に足跡がないように、仏の道の外に真の修行者はいない。世の人は思い込みを楽しむが、如来に思い込みはない。

対応する本文へ 空に足跡がないように、仏の道の外に真の修行者はいない。条件によって生じたものは、心の働きも含めて常住しない。目覚めた人に動揺はない。

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収録した訳と出典

日本語訳:関西パーリ語実習会(2023年公開版)。公開元:SuttaCentral。全26章・423偈と、収録版の結び・摂頌を掲載。

訳文の文字・補足を保ち、ふりがなをこの杜が読書の補助として添えています。この杜による要点は、訳文と分けて掲載しています。

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