いのりのもり祈りの杜仮称

スッタニパータ「慈愛の経」

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関西パーリ語実習会 日本語訳

木々と水辺のある森で、鹿、鳥、小さな虫たちが静かに暮らす情景。
見えるものにも、見えないものにも。あらゆる生きものの安らぎを願う教えを、森の情景に重ねました。

日本語訳の本文

1.8. 慈愛の経

偈 143すなわち、〔まさに〕その、寂静の境処を知悉して、〔実践の〕義(目的)に巧みな智ある者によって為されるべきは、〔以下のとおりとなる〕。有能で、かつまた、〔心が〕真っすぐで、さらに、実直で、かつまた、素直で、柔和で、高慢なき者として、〔世に〕存するように。(1)

偈 144そして、〔常に足ることを知る〕満ち足りている者として、かつまた、〔他者を煩わさない〕扶養し易き者として、かつまた、為すべきこと(義務)少なく、軽素な生活者として、さらに、〔感官の〕機能の寂静なる者として、かつまた、賢明で、尊大ならず、〔行乞する〕家々にたいし貪求なき者として、〔世に存するように〕。(2)

偈 145そして、どんなに小さなことであれ、その〔行為〕によって、他の識者たちが批判するなら、〔それを〕習行しないように。一切の有情たちは、安楽の自己ある者たちと成れ。まさしく、安楽で、平安の者たちと成れ。(3)

偈 146彼らが誰であれ、命ある生類たちとして〔世に〕存するなら、あるいは、〔心が〕震え動く者(凡夫)たちも、あるいは、〔心が〕震え動かない者(阿羅漢)たちも、〔全て〕残りなく⸺あるいは、長いものたちも、あるいは、すなわち、大きなものたちも、中なるものたちも、短いものたちも、微細なるものや粗大なるものたちも⸺(4)

偈 147あるいは、〔かつて〕見たことがあるものたちも、あるいは、すなわち、〔いまだ〕見たことがないものたちも⸺あるいは、すなわち、遠くに住するものたちも、遠くないところに〔住するものたちも〕、あるいは、〔いまここに〕生類としてあるものたちも、あるいは、〔未来の〕発生を求めるものたちも、一切の有情たちは、安楽の自己ある者たちと成れ。(5)

偈 148他者は他者を欺かないように。どこにおいても、〔それが〕誰であれ、その者を軽んじないように。反目ゆえに、敵対の表象(有対想:自己に対峙対立する表象)ゆえに、互いに他の苦しみを求めないように。(6)

偈 149あたかも、母が自分の子を〔守るように、それも〕命がけで独り子を守るように、このように、また、一切の生類にたいし、無量なる〔慈愛の〕意図を修めるように。(7)

偈 150そして、一切の世〔の人々〕にたいし、無量なる慈愛の意図を修めるように。上に、そして、下に、さらに、横に、隔てなく、怨みなく、敵なき〔心〕を〔修めるように〕。(8)

偈 151立っているも、歩いているも、あるいは、坐っているも、臥しているも、眠気を離れた者として〔世に〕存する、そのかぎりは、この〔行住坐臥の〕気づきを、〔瞬間瞬間に〕確立するように。この〔行住坐臥の気づき〕を、〔賢者たちは〕「この〔世における〕梵の住」と言う。(9)

偈 152そして、〔誤った〕見解に近しく赴かずして、〔あるがままの〕見を成就した戒ある者は、諸々の欲望〔の対象〕にたいする貪求〔の思い〕を取り除いて、もはや、胎に臥す〔境遇〕にふたたび至り行くことは、まさに、ない。ということで⸺(10)

慈愛の経が第八となり、〔以上で〕終了となる。

この杜による要点

本文の下の「要点」は、パーリ語本文と対訳を参照し、この杜が自分の言葉でまとめたものです。訳文の引用ではなく、読み方の一つの手がかりとしてお読みください。語の解釈が複数ある箇所では、掲載訳と要点の読み方が異なることがあります。

対応する本文へ 静けさの境地を知り、目的に通じた人のなすべきことは次のとおりである。有能で、まっすぐで、実直で、素直で、柔和で、高慢でないこと。

対応する本文へ 足るを知り、養いやすく、務めが少なく、簡素に暮らし、感覚が静かで、賢明で、尊大でなく、施しを受ける家々に貪りを持たないこと。

対応する本文へ ほかの識者に非難されるようなことは、どんなに小さくてもしない。すべての生き物が安らかで、幸いであり、平安であるように。

対応する本文へ 命あるものはすべて、心の揺れる者も揺れない者も、長いものも大きいものも中くらいのものも短いものも、細かいものも大きなものも、残らず、

対応する本文へ 見たことのあるものも、ないものも、遠くに住むものも近くのものも、今いるものも、これから生まれようとするものも、すべての生き物が安らかであるように。

対応する本文へ 誰も他人を欺かず、どこの誰であれ軽んじない。反目や敵意から、互いに苦しみを望まない。

対応する本文へ 母が自分の独り子を命がけで守るように、すべての生き物に対して、限りない慈しみの心を修める。

対応する本文へ 世のすべてに対して、上にも下にも横にも、隔てなく、怨みなく、敵意のない、限りない慈しみの心を修める。

対応する本文へ 立つときも歩くときも、坐るときも横たわるときも、眠っていない間はこの慈しみを心に保つ。これを梵住という尊い心のあり方と呼ぶ。

対応する本文へ 誤った見解に近づかず、正しく見て戒を保ち、欲望への貪りを取り除いた人は、二度と母の胎に戻ることはない。

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収録した訳と出典

日本語訳:関西パーリ語実習会(2023年公開版)。公開元:SuttaCentral。全5章・70経と序・結び、巻末の21詩を収録版の73単位で掲載。

訳文の文字・補足を保ち、ふりがなをこの杜が読書の補助として添えています。この杜による要点は、訳文と分けて掲載しています。

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