いのりのもり祈りの杜仮称

スッタニパータ「ピンギヤ学徒の問い」

← 紹介・目次へ

関西パーリ語実習会 日本語訳

日本語訳の本文

5.17. ピンギヤ学徒の問い

偈 1120かくのごとく、尊者ピンギヤが〔言った〕「老いた者として、わたしは存しています⸺力はなく、色艶は離れ、眼は清浄ならず、耳は平穏ならず、〔そのような老齢の者として〕。わたしが、まさしく、中途半端なまま、迷愚の者として、消え行くことがあってはなりません。〔わたしに〕法(教え)を告げ知らせてください。わたしが識知しなければならない、〔まさに〕その、この〔世における〕生と老の捨棄〔という法〕を」〔と〕。(1)

偈 1121かくのごとく、世尊は〔答えた〕「ピンギヤよ、〔気づきを〕怠る人たちは、諸々の形態について悩み苦しみます。〔彼らが〕諸々の形態について打ちのめされているのを見て、ピンギヤよ、それゆえに、あなたは、〔気づきを〕怠らない者となり、さらなる生存なきために、形態を捨棄するのです」〔と〕。(2)

偈 1122〔尊者ピンギヤが言った〕「四方(東西南北)に、四維(北西・南西・南東・北東の四隅)に、上に、下に、これらの十方に⸺あなたにとっては、見られたことなきものも、聞かれたことなきものも、思われたことなきものも、さらに、識られたことなきものも、世において、何であれ、存在しないのです。〔わたしに〕法(教え)を告げ知らせてください。わたしが識知しなければならない、〔まさに〕その、この〔世における〕生と老の捨棄〔という法〕を」〔と〕。(3)

偈 1123かくのごとく、世尊は〔答えた〕「ピンギヤよ、渇愛〔の思い〕に囚われた人間たちを、熱苦が生じ老に打ち負かされた者たちを、〔常に〕見ながら、ピンギヤよ、それゆえに、あなたは、〔気づきを〕怠らない者となり、さらなる生存なきために、渇愛を捨棄するのです」〔と〕。ということで⸺(4)

ピンギヤ学徒の問いが第十六となり、〔以上で〕終了となる。

この杜による要点

本文の下の「要点」は、パーリ語本文と対訳を参照し、この杜が自分の言葉でまとめたものです。訳文の引用ではなく、読み方の一つの手がかりとしてお読みください。語の解釈が複数ある箇所では、掲載訳と要点の読み方が異なることがあります。

対応する本文へ 尊者ピンギヤが言った。私は老いて力なく、色つやも失せ、眼はかすみ、耳も聞こえにくい。中途半端な迷いの者のまま消え去ることがあってはなりません。この世での生と老いの捨て方を教えてください、と。

対応する本文へ 世尊は答えた。ピンギヤよ、気づきを怠る人々は、形あるものについて悩み苦しみます。彼らが形あるものに打ちのめされているのを見て、あなたは怠らぬ人となり、再び生まれないために、形あるものを捨てるのです、と。

対応する本文へ 尊者ピンギヤが言った。四方にも四隅にも上にも下にも、この十方に、あなたが見たことも聞いたことも思ったことも識ったこともないものは、世に何一つありません。この世での生と老いの捨て方を教えてください、と。

対応する本文へ 世尊は答えた。ピンギヤよ、渇愛にとらわれ、熱い苦しみが生じ、老いに打ち負かされた人々を常に見て、あなたは怠らぬ人となり、再び生まれないために、渇愛を捨てるのです、と。

文字サイズや読み方を切り替えて読む

収録した訳と出典

日本語訳:関西パーリ語実習会(2023年公開版)。公開元:SuttaCentral。全5章・70経と序・結び、巻末の21詩を収録版の73単位で掲載。

訳文の文字・補足を保ち、ふりがなをこの杜が読書の補助として添えています。この杜による要点は、訳文と分けて掲載しています。

公開元の日本語訳 · CC BY-NC-ND 3.0(表示・非営利・改変禁止)