いのりのもり祈りの杜仮称

祝詞・岡吉胤『祝詞全書』1897年・第一文例

祈年祭きねんさい

天照大御神・豊受比売大神・大年と御年の大神・里の神へ、稲の豊かな実りを祈る詞です。目次では「新年祭」となっていますが、本文の見出しは「祈年祭」です。二月四日や朝廷の祭りを含む明治期の文例で、現在の神社に共通する日付・作法を定めるものではありません。

祈年祭の文例(きねんさいのぶんれい)

掛(か)けまくも畏(かしこ)き天照大御神(あまてらすおおみかみ)豊受比売(とようけひめ)の大神(おおかみ)大年(おおとし)御年大神(みとしのおおかみ)此郷(このさと)を領坐(うしはきま)す何大神(なにのおおかみ)の大前(おおまえ)を慎(つつし)み敬(うやま)い畏(かしこ)み畏(かしこ)みも白(もう)さく。

天在哉(あめなるや)天照大御神(あまてらすおおみかみ)の此稲種(このいなたね)は顕見(うつしき)青人草(あおひとくさ)の喫(くら)いて活(い)くべき物(もの)との宣言為給(のりごちたま)いし故以(ゆえもち)て斎庭(ゆにわ)の穂(いなほ)を言祝(ことほ)ぎて皇孫命(すめみまのみこと)に授(さづ)け給(たま)いしに随(したが)いて神代(かみよ)も今(いま)も変(かわ)る事(こと)無(な)く。

毎年(としの)二月(きさらづき)四日(よかのひ)大朝廷(おおみかど)に御年(みとし)初(はじ)め給(たま)えるが故(ゆえ)に此(こ)の御前(みまえ)にも今日生日(きょういくひ)の足日(たるひ)の祝定(いわいさだ)めて。

莫留(もちた)る大御酒(おおみき)は甕(みか)の上高知(うえたかし)り大御代(おおみよ)は平(たいら)けく安(やす)けく御饌(みけ)は海物(うみのもの)野物(ぬのもの)山物(やまのもの)を机(つくえ)も登(と)ををに仕奉(つかえまつ)らくを平(たいら)けく安(やす)けく聞食(きこしめ)し。

百姓(おおみたから)が手肱(たなひじ)に水沫播(みなわか)き向股(むかもも)に泥播寄(ひじかきよ)せて取作(つく)れる奥津御年(おきつみとし)は八束穂(やつかほ)の茂穂(いかしほ)に成(な)し幸(さきわ)え給(たま)わば。

荷前(のさき)をば懸税(かけぢから)税(ちから)甕酒(みき)白酒(しろき)の汁(しる)にも頴(かい)にも秋祭(あきまつり)に献(たてまつ)ると里(さと)の刀祢等(とねら)と諸共(もろとも)に鴨(かも)の成伊這回(なすいはいもとお)り恐(かしこ)み恐(かしこ)みも称辞竟奉(たたえごとおえまつ)らくと白(もう)す。

保護期間満了の古典本文を独自に組版。現代語訳と英訳はこの杜が作成。

ゆかりの神仏

出典・参考資料