スッタニパータ「欲望の経」
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日本語訳の本文
4.1. 欲望の経
vns772偈 766欲望〔の対象〕を欲しているとして、もし、彼の、その〔欲望〕が等しく実現するなら、たしかに、喜悦の意ある者と成る⸺人は、〔まさに〕その、求めるところのものを得て。(1)
vns773偈 767もし、彼が、〔欲望の対象を〕欲しているとして、人に、欲〔の思い〕が生じたとして、それらの欲望〔の対象〕が遍く衰退するなら、矢に貫かれた者のように悩み苦しむ。(2)
vns774偈 768足で蛇の頭を〔避ける〕ように、彼が、諸々の欲望〔の対象〕を遍く避けるなら、彼は、世における、この執着を超克する⸺〔常に〕気づきある者として。(3)
vns775偈 769田畑、地所、あるいは、黄金、牛や馬、奴隷や下僕、婦女たち、眷属たちを、多々なる欲望〔の対象〕を、その人が貪り求めるなら⸺(4)
vns776偈 770彼を、諸々の力なきものが押しつぶす。彼を、諸々の危難が踏みにじる。そののち、彼に、苦しみが従い行く⸺壊れた舟に、水が〔浸み入る〕ように。(5)
vns777偈 771それゆえに、人は、常に気づきある者となり、諸々の欲望〔の対象〕を遍く避けるがよい。それら(欲望の対象)を捨棄して、〔貪欲の〕激流を超え渡るがよい。舟〔に浸み入る水〕を汲み出してこそ、彼岸に至る者となる。ということで⸺(6)
欲望の経が第一となり、〔以上で〕終了となる。
この杜による要点
本文の下の「要点」は、パーリ語本文と対訳を参照し、この杜が自分の言葉でまとめたものです。訳文の引用ではなく、読み方の一つの手がかりとしてお読みください。語の解釈が複数ある箇所では、掲載訳と要点の読み方が異なることがあります。
対応する本文へ 欲望の対象を欲しがり、それがかなうなら、求めるものを得て、たしかに人は喜ぶ。
対応する本文へ しかし欲しがって欲が生じたのに、その欲望の対象が失われるなら、矢に貫かれた者のように苦しむ。
対応する本文へ 足で蛇の頭を避けるように欲望の対象を避ける人は、気づきをもって、世におけるこの執着を越える。
対応する本文へ 田畑や土地、黄金、牛や馬、奴隷や下僕、女性たち、親族など、多くの欲望の対象を貪り求める人を、
対応する本文へ 力のないものが押しつぶし、危難が踏みにじる。そして壊れた舟に水が入るように、苦しみがついてくる。
対応する本文へ だから人は常に気づきを保ち、欲望の対象を避ける。それを捨てて貪りの激流を渡れ。舟の水を汲み出してこそ、向こう岸に至る。
収録した訳と出典
日本語訳:関西パーリ語実習会(2023年公開版)。公開元:SuttaCentral。全5章・70経と序・結び、巻末の21詩を収録版の73単位で掲載。
訳文の文字・補足を保ち、ふりがなをこの杜が読書の補助として添えています。この杜による要点は、訳文と分けて掲載しています。