スッタニパータ「最高についての八なるものの経」
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日本語訳の本文
4.5. 最高についての八なるものの経
vns802偈 796諸々の見解について、「〔これこそ〕最高である」と〔独善的に固執し〕固着しながら、世において、人が、それをより上と為すなら、それより他のものについては、〔その〕一切を、「劣る」と言う。それゆえに、〔人は〕諸々の論争を超克せずにいる。(1)
vns803偈 797見られたものについて、聞かれたものについて、戒や掟(執着の対象に成り下がった宗教行為)について、あるいは、思われたもの(我執の思いで対象化され他者化した認識対象)について、すなわち、自己〔の見解〕について、福利を見るなら、彼は、そこにおいて、それ(自己の見解)だけに執持して、他の一切を「劣る」と見る。(2)
vns804偈 798あるいは、また、それを、智者たちは、「拘束」と説く⸺それに依存する者が、他を「劣る」と見るなら。まさに、それゆえに、あるいは、見られたものに、聞かれたものに、あるいは、思われたものに、戒や掟に、比丘は、依存しないように。(3)
vns805偈 799あるいは、知恵によって、あるいは、また、戒や掟によっても、世において、〔いかなる〕見解でさえも想い描かないように。自己を〔他者と〕「等しい」と見なさないように。あるいは、また、「劣る」「勝る」〔と〕思いなさないように。(4)
vns806偈 800自己を捨棄して、執取せずにいる者は⸺彼は、〔いかなる〕知恵にたいしてもまた、依存を為さない。彼は、まさに、相争う者たちのなかにいながら、〔特定の〕党派に走り行く者ではない。彼は、〔いかなる〕見解でさえも、何であれ、信受しない。(5)
vns807偈 801彼に、この〔世において〕、〔種々に対立する〕両極について、〔自分勝手な〕誓願が存在しないなら⸺この〔世〕であろうと、あの〔世〕であろうと、種々なる生存のために、〔自分勝手な誓願が存在しないなら〕⸺彼に、諸々の〔妄執が〕固着する場は、何であれ、存在しない。諸々の法(見解)について、〔執着の対象として〕執持されたものを、〔執着の対象と〕判別して。(6)
vns808偈 802彼には、この〔世において〕、あるいは、見られたものについて、聞かれたものについて、あるいは、思われたものについて、〔執着の対象として〕想い描かれた〔特定の〕表象は、微塵でさえも存在しない。〔特定の〕見解に執取しない、その婆羅門を、ここに、〔この〕世において、〔いったい、誰が〕何によって、想い描くというのだろう(執着の対象を想い描くことがない者は、執着の対象として想い描かれることもない)。(7)
vns809偈 803〔特定の何かを〕想い描かず、〔特定の何かを〕偏重せず、諸々の法(見解)もまた、彼らには受容されない。〔真の〕婆羅門は、戒や掟によって導かれない。彼岸に至った如なる者は、〔特定の見解を〕信受しない(この世に戻らない)。ということで⸺(8)
最高についての八なるものの経が第五となり、〔以上で〕終了となる。
この杜による要点
本文の下の「要点」は、パーリ語本文と対訳を参照し、この杜が自分の言葉でまとめたものです。訳文の引用ではなく、読み方の一つの手がかりとしてお読みください。語の解釈が複数ある箇所では、掲載訳と要点の読み方が異なることがあります。
対応する本文へ 自分の見解を最高と固執し、世でそれを上に置く人は、それ以外のすべてを劣ると言う。だから論争を越えられない。
対応する本文へ 見られたもの、聞かれたもの、戒や掟、思われたものについて、自分の見解に利益を見る人は、それだけにしがみつき、他のすべてを劣ると見る。
対応する本文へ それに頼って他を劣ると見ることを、智者は拘束と説く。だから修行者は、見られたものにも聞かれたものにも思われたものにも、戒や掟にも頼らない。
対応する本文へ 知恵によっても戒や掟によっても、世において見解を思い描かない。自分を他人と等しいと見ず、劣るとも勝るとも思わない。
対応する本文へ つかんでいたものを捨て、再びとらわれず、知識にも依存しない。党派に加わらず、どんな見解も信じ込まない、と説く。
対応する本文へ この世やあの世の生存について、どちらの極端も願わない人には、教説を選んで固執するよりどころがない。
対応する本文へ 見られたもの、聞かれたもの、思われたものについて、思い描かれた表象が微塵もない。特定の見解に執着しないその聖者を、世で誰が何によって思い描けるだろう。
対応する本文へ 何も思い描かず、偏重せず、どんな見解も受け入れない。真の聖者は戒や掟に導かれない。向こう岸に至った人は、信じ込むことがなく、この世に戻らない。
収録した訳と出典
日本語訳:関西パーリ語実習会(2023年公開版)。公開元:SuttaCentral。全5章・70経と序・結び、巻末の21詩を収録版の73単位で掲載。
訳文の文字・補足を保ち、ふりがなをこの杜が読書の補助として添えています。この杜による要点は、訳文と分けて掲載しています。