スッタニパータ「滅びの者の経」
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日本語訳の本文
1.6. 滅びの者の経
vns91偈 91〔天神が尋ねた〕「ゴータマ(ブッダ)よ、滅びつつある人のことを、わたしどもは尋ねます。〔わたしたちは〕世尊に尋ねるために、やってまいりました。何が、滅びつつある者の入り口(原因)ですか」〔と〕。(1)
vns92偈 92〔世尊は答えた〕「識知し易い者として、栄える者は〔世に〕有ります。識知し易い者として、滅びの者は〔世に有ります〕。法(真理)を欲する者として、栄える者は〔世に〕有ります。法(真理)を嫌う者として、滅びの者は〔世に有ります〕」〔と〕。(2)
vns93偈 93〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第一の滅びの者です。世尊よ、第二の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(3)
vns94偈 94〔世尊は答えた〕「彼にとって、正しからざる者たちは、愛しき者たちとして〔世に〕有ります。正しくある者たちを愛しき者と為さず、正しからざる者たちの法(性質)を選ぶ⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(4)
vns95偈 95〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第二の滅びの者です。世尊よ、第三の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(5)
vns96偈 96〔世尊は答えた〕「その人が、睡眠を戒とし、集会を戒とし、かつまた、奮起せず、怠け者で、怒ることで知られる者であるなら⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(6)
vns97偈 97〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第三の滅びの者です。世尊よ、第四の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(7)
vns98偈 98〔世尊は答えた〕「彼が、母を、あるいは、父を、若さ〔の盛り〕が去り、老い朽ちた者を、〔やれば〕できる者として存していながら、養わないなら⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(8)
vns99偈 99〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第四の滅びの者です。世尊よ、第五の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(9)
vns100偈 100〔世尊は答えた〕「彼が、婆羅門を、あるいは、沙門を、あるいは、また、他の乞食者を、虚偽の論で騙すなら⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(10)
vns101偈 101〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第五の滅びの者です。世尊よ、第六の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(11)
vns102偈 102〔世尊は答えた〕「多大なる富ある人が、黄金を有し食料を有する者が、諸々の美味なるものを独りで食べる⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(12)
vns103偈 103〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第六の滅びの者です。世尊よ、第七の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(13)
vns104偈 104〔世尊は答えた〕「その人が、出生を強がり、財産を強がり、かつまた、氏姓を強がり、自らの親族を軽んじるなら⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(14)
vns105偈 105〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第七の滅びの者です。世尊よ、第八の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(15)
vns106偈 106〔世尊は答えた〕「その人が、女について質悪く、酒について質悪く、かつまた、博打について質悪く、得たもの、得たものを、失ってしまうなら⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(16)
vns107偈 107〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第八の滅びの者です。世尊よ、第九の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(17)
vns108偈 108〔世尊は答えた〕「自らの妻たちに満足せず、娼婦たちに見とれ、他者の妻たちに見とれる⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(18)
vns109偈 109〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第九の滅びの者です。世尊よ、第十の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(19)
vns110偈 110〔世尊は答えた〕「若さ〔の盛り〕を超えた男が、ティンバル〔樹の果実〕の乳房ある〔若い女〕を導き入れ、彼女への嫉妬で〔夜も〕眠らない⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(20)
vns111偈 111〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第十の滅びの者です。世尊よ、第十一の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(21)
vns112偈 112〔世尊は答えた〕「酒乱や浪費の女を、あるいは、また、そのような男を、権力あるところに置く⸺それが、滅びつつある者の入り口です」〔と〕。(22)
vns113偈 113〔天神が尋ねた〕「まさに、かくのごとく、このことを、〔わたしたちは〕識知します。彼は、第十一の滅びの者です。世尊よ、第十二の者のことを、説いてください。何が、滅びつつある者の入り口ですか」〔と〕。(23)
vns114偈 114〔世尊は答えた〕「財物が少なく、〔それでいて〕渇愛の大きい者が、士族の家に生まれ、かつまた、彼が、王権を切望する⸺それが、滅びつつある者の入り口です。(24)
vns115偈 115世における、これらの滅びの者たちのことを、賢者は、〔あるがままに〕正しく注視して、〔あるがままの〕見を成就した聖者となり、彼は、至福の世に親近します」〔と〕。ということで⸺(25)
滅びの者の経が第六となり、〔以上で〕終了となる。
この杜による要点
本文の下の「要点」は、パーリ語本文と対訳を参照し、この杜が自分の言葉でまとめたものです。訳文の引用ではなく、読み方の一つの手がかりとしてお読みください。語の解釈が複数ある箇所では、掲載訳と要点の読み方が異なることがあります。
対応する本文へ 天の神がブッダに尋ねた。滅びていく人について聞きたい。滅びの入り口となるものは何か、と。
対応する本文へ ブッダは答えた。栄える人も滅びる人も見分けやすい。真理を求める人は栄え、真理を嫌う人は滅びる、と。
対応する本文へ 神は言った。それが第一の滅びる人とわかりました。第二の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 正しくない人を好み、正しい人を好まず、正しくない人の性質を選ぶ。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第二の滅びる人とわかりました。第三の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 眠ってばかりで、集まりに明け暮れ、奮い立たず、怠け、怒りっぽいことで知られる。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第三の滅びる人とわかりました。第四の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ できるのに、若さを失って老いた母や父を養わない。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第四の滅びる人とわかりました。第五の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 聖職者や修行者や施しを乞う人を、嘘でだます。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第五の滅びる人とわかりました。第六の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 財も黄金も食料も豊かにあるのに、おいしいものを独りで食べる。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第六の滅びる人とわかりました。第七の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 生まれや財産や家柄を鼻にかけ、自分の親族を軽んじる。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第七の滅びる人とわかりました。第八の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 女性関係と酒と博打に身を持ち崩し、得たものを次々に失う。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第八の滅びる人とわかりました。第九の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 自分の妻に満足せず、娼婦や他人の妻に目を奪われる。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第九の滅びる人とわかりました。第十の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 若さを過ぎた男が若い女を迎え入れ、嫉妬で夜も眠れない。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第十の滅びる人とわかりました。第十一の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 酒乱で浪費する女や男に、権力のある立場を任せる。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 神は言った。それが第十一の滅びる人とわかりました。第十二の滅びの入り口を説いてください、と。
対応する本文へ 財が少ないのに欲が大きく、王家に生まれて王位を切望する。それが滅びの入り口である。
対応する本文へ 世にあるこれらの滅びの原因を正しく見きわめ、ありのままに見る聖者となった賢い人は、幸いな世界に近づく。
収録した訳と出典
日本語訳:関西パーリ語実習会(2023年公開版)。公開元:SuttaCentral。全5章・70経と序・結び、巻末の21詩を収録版の73単位で掲載。
訳文の文字・補足を保ち、ふりがなをこの杜が読書の補助として添えています。この杜による要点は、訳文と分けて掲載しています。