いのりのもり祈りの杜仮称

スッタニパータ「出家の経」

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関西パーリ語実習会 日本語訳

日本語訳の本文

3.1. 出家の経

偈 405〔尊者アーナンダが言った〕「〔世尊の〕出家〔の経緯〕を、〔あるがままに〕述べ伝えましょう⸺眼ある方が出家した、そのとおりに⸺〔常に正しく〕考察している方が、彼が、出家することを正しく選んだ、そのとおりに。(1)

偈 406『この在家の居住は煩わしく、塵の〔積もる〕場所(処:領域・範囲)である』と〔見て〕、『出家は、まさしく、〔塵の積もらない〕野外にある』と見て、〔世尊は〕出家しました。(2)

偈 407出家して、身体による悪しき行為(悪業)を避けました。言葉による悪しき行ないを捨棄して、生き方を完全に清めました。(3)

偈 408覚者は、ラージャガハ(王舎城)に赴きました⸺マガダ〔国〕のギリッバジャ(王舎城の別名)に。優れた〔聖者の〕特相を〔身体に〕ちりばめた方は、〔行乞の〕食のために〔歩を〕運びました。(4)

偈 409高楼に立ったビンビサーラ(マガダ国王)は、彼を見ました。〔聖者の〕特相を成就した方を見て、この義(意味)を語りました。(5)

偈 410〔王は言いました〕『諸君よ、このことをこころして聞け。〔彼は〕形姿麗しく、偉丈夫で、清らかである。さらに、行ないを成就し、かつまた、〔一〕ユガ(尋:長さの単位・一ユガは約二メートル)ばかりを〔隙なく〕見ている。(6)

偈 411〔生類を殺さぬように注意深く〕眼を落とし、気づき(念)ある者である。この者は、卑しい家から〔出た者〕のようには〔見え〕ない(人品卑しからぬ者である)。王の使者たちよ、走れ。比丘は、どこに赴くのだろう』〔と〕。(7)

偈 412〔王に〕命じられた、それらの王の使者たちは、〔覚者の〕背後から後を追いました⸺『比丘は、どこに赴くのだろう。どこにおいて、住居と成るのだろう』〔と〕。(8)

偈 413〔感官の〕門が守られ、善く統御された方は、〔行乞のために〕歩々淡々と歩みながら、すみやかに、鉢を〔施物で〕満たしました⸺正知と気づきの者として。(9)

偈 414〔行乞の〕食の行(托鉢行)を歩んで、城市から出て、牟尼は、パンダヴァ〔山〕へと〔歩を〕運びました。ここにおいて、住居と成るのでしょう。(10)

偈 415〔覚者が〕住居へと近しく赴いたのを見て、三者の使者たちは、〔覚者のもとに赴き、一方に〕近坐しました。彼らのうち、一者だけは、〔王宮に〕帰って、王に知らせました。(11)

偈 416〔使者は言いました〕『大王よ、この比丘は、パンダヴァ〔山〕の東に〔赴き〕、山窟において、獅子のように、虎や雄牛のように、坐っています』〔と〕。(12)

偈 417使者の言葉を聞いて、士族(ビンビサーラ王)は、立派な乗物とともに、急ぎの様子で出発しました⸺パンダヴァ山のあるところへと。(13)

偈 418彼は、乗物の〔行ける〕地まで行って、乗物から降りて、士族は、徒歩の者となり、〔覚者のもとへと〕近づいて行って、彼に近づいて、〔一方に〕近坐しました。(14)

偈 419坐って〔そののち〕、王は、記憶されるべき話を〔交わし、出会いを〕喜び合いました(対面の挨拶をした)。そののち、彼は、〔覚者と〕話を交わして、この義(意味)を語りました。(15)

偈 420〔王は尋ねました〕『かつまた、若くある者として、かつまた、年少の者として、〔あなたは〕存しています⸺〔人生の〕最初を生きる若者として。崇高なる色艶を成就した者であり、生まれよき士族のようです。(16)

偈 421軍隊の先端を美しく荘厳しながら、象たちの群れに囲まれた者と〔成りたまえ〕。〔わたしが、あなたに〕施しましょう⸺諸々の財物を受けたまえ。〔わたしに、あなたの〕生まれを告げ知らせたまえ⸺〔問いを〕尋ねられた者として』〔と〕。(17)

偈 422〔世尊は答えました〕『王よ、〔この方角を〕真っすぐに、ヒマヴァント(ヒマラヤ)の山麓に、財と勇を成就した地方があります。コーサラ〔国〕に家ある〔王〕のものです。(18)

偈 423まさに、姓としては、アーディッチャ(太陽)であり、まさに、生まれとしては、釈迦〔族〕であり、その家から出家した者として、〔わたしは〕存しています。諸々の欲望〔の対象〕を望み求める者ではありません。(19)

偈 424諸々の欲望〔の対象〕のうちに危険(患・過患)を見て、離欲〔の境地〕を「平安である」と見て、〔刻苦〕精励するために、〔出家の道を〕赴くでしょう。ここにおいて、わたしの意は喜びます』」〔と〕。ということで⸺(20)

出家の経が第一となり、〔以上で〕終了となる。

この杜による要点

本文の下の「要点」は、パーリ語本文と対訳を参照し、この杜が自分の言葉でまとめたものです。訳文の引用ではなく、読み方の一つの手がかりとしてお読みください。語の解釈が複数ある箇所では、掲載訳と要点の読み方が異なることがあります。

対応する本文へ 尊者アーナンダは言った。眼ある方の出家のいきさつを、正しく考える方が出家を正しく選んだそのとおりに、述べ伝えましょう、と。

対応する本文へ 家の暮らしは窮屈で塵の積もる場、出家の暮らしは広々した空のようだ、と見て、世尊は出家した。

対応する本文へ 出家して、身体による悪い行いを避け、言葉による悪い行いを捨て、生き方を完全に清めた。

対応する本文へ 覚者はマガダ国の王舎城に赴いた。すぐれた聖者の相をちりばめた方は、施しの食のために歩を運んだ。

対応する本文へ 高殿に立ったビンビサーラ王は彼を見た。聖者の相を備えた方を見て、こう語った。

対応する本文へ 王は言った。諸君、心して聞け。あの人は姿が麗しく、立派で、清らかだ。行いが整い、少し先だけを隙なく見ている。

対応する本文へ 目を伏せ、気づきを保っている。卑しい家の出とは見えない。使者たちよ、走れ。あの修行者はどこへ行くのか、と。

対応する本文へ 命じられた王の使者たちは、「あの修行者はどこへ行き、どこに住むのだろう」と、後をつけた。

対応する本文へ 感覚の門を守り、よく自制した方は、托鉢する家を選り好みせず、理解と気づきを保って歩き、すみやかに鉢を満たした。

対応する本文へ 托鉢を終えて町を出ると、聖者はパンダヴァ山へ歩を運んだ。ここが住まいになるのだろう。

対応する本文へ 住まいに着いたのを見て、三人の使者のうち二人はそばに坐り、一人だけが戻って王に知らせた。

対応する本文へ 使者は言った。大王よ、あの修行者はパンダヴァ山の東の岩屋で、獅子のように、虎や雄牛のように坐っています、と。

対応する本文へ 使者の言葉を聞いて、王は立派な乗り物で急ぎ、パンダヴァ山へ向かった。

対応する本文へ 乗り物で行ける所まで行くと、王は乗り物を降り、徒歩で覚者に近づき、そばに坐った。

対応する本文へ 坐って王は挨拶を交わし、出会いを喜び合った。そのあと話をして、こう語った。

対応する本文へ 王は尋ねた。あなたは若く、人生の初めにある人だ。気高い容色を備え、生まれのよい武士のようだ。

対応する本文へ 軍の先頭を飾り、象の群れに囲まれてはどうか。財を与えよう、受け取ってほしい。あなたの生まれを教えてほしい、と。

対応する本文へ 世尊は答えた。王よ、この方角にまっすぐ、ヒマラヤの麓に、財と勇気を備えた国がある。コーサラ国に属する地である。

対応する本文へ 姓は太陽の裔、生まれは釈迦族で、その家から出家した。欲望を求める者ではない。

対応する本文へ 欲望の中に危険を見、欲を離れることを安らぎと見て、励むために出家の道へ進む。ここに私の心は喜ぶ、と。

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収録した訳と出典

日本語訳:関西パーリ語実習会(2023年公開版)。公開元:SuttaCentral。全5章・70経と序・結び、巻末の21詩を収録版の73単位で掲載。

訳文の文字・補足を保ち、ふりがなをこの杜が読書の補助として添えています。この杜による要点は、訳文と分けて掲載しています。

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