いのりのもり祈りの杜仮称

スッタニパータ「アジタ学徒の問い」

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関西パーリ語実習会 日本語訳

日本語訳の本文

5.2. アジタ学徒の問い

偈 1032かくのごとく、尊者アジタが〔尋ねた〕「世〔の人々〕は、まさに、何によって覆われているのですか。まさに、何によって光り輝かないのですか。〔あなたは〕何を、それ(世の人々)にとっての汚れと説くのですか。いったい、何を、それにとっての大いなる恐怖と〔説くのですか〕」〔と〕。(1)

偈 1033かくのごとく、世尊は〔答えた〕「アジタよ、世〔の人々〕は、無明によって覆われています。物欲〔の思い〕(物惜の心)あるがゆえに、怠り〔の思い〕(放逸の心)あるがゆえに、光り輝かないのです。〔わたしは〕渇望〔の思い〕を、〔世の人々にとっての〕汚れと説きます。苦しみを、それにとっての大いなる恐怖と〔説きます〕」〔と〕。(2)

偈 1034かくのごとく、尊者アジタが〔尋ねた〕「諸々の〔欲望の〕流れは、一切所に流れ行きます。何が、〔それらの〕流れの防護となり、〔それらの〕流れの統御となるのかを、〔わたしに〕説いてください。何によって、諸々の〔欲望の〕流れは塞がれるのですか」〔と〕。(3)

偈 1035かくのごとく、世尊は〔答えた〕「アジタよ、世において、それらの〔欲望の〕流れがあるとして、気づき(念)が、それら〔の流れ〕の防護となり、〔それらの〕流れの統御となると、〔わたしは〕説きます。智慧(慧・般若)によって、これら〔の流れ〕は塞がれます」〔と〕。(4)

偈 1036かくのごとく、尊者アジタが〔尋ねた〕「まさしく、そして、智慧が〔説かれ〕、さらに、すなわち、気づきが〔説かれました〕。敬愛なる方よ、では、名前と形態(名色:現象世界)を、これを、〔問いを〕尋ねられた者として、わたしに説いてください。どこにおいて、この〔名前と形態〕は破却されるのですか」〔と〕。(5)

偈 1037〔世尊は答えた〕「〔あなたが〕尋ねた、〔まさに〕その、この問いですが、アジタよ、それを、あなたに説きましょう。そこにおいて、そして、名前(名:精神的事象)が、さらに、形態(色:物質的形態)が、残りなく破却されるとして⸺識知〔作用〕(識:認識作用一般・自己と他者を識別する働き)の止滅によって、ここにおいて、この〔名前と形態〕は破却されます」〔と〕。(6)

偈 1038〔尊者アジタが尋ねた〕「そして、彼ら、法(真理)を究めた者(阿羅漢)たちが、さらに、彼ら、〔いまだ〕学びある者(有学)たちが、多くの者たちが、ここにいるのですが、敬愛なる方よ、〔問いを〕尋ねられた賢明なる者として、彼らの振る舞い(正しい行為のあり方)を、わたしに説いてください」〔と〕。(7)

偈 1039〔世尊は答えた〕「諸々の欲望〔の対象〕について貪り求めないように。意に濁りなき者として存するように。一切の法(事象)に巧みな智ある者として、〔常に〕気づきある比丘として、遍歴遊行するがよい」〔と〕。ということで⸺(8)

アジタ学徒の問いが第一となり、〔以上で〕終了となる。

この杜による要点

本文の下の「要点」は、パーリ語本文と対訳を参照し、この杜が自分の言葉でまとめたものです。訳文の引用ではなく、読み方の一つの手がかりとしてお読みください。語の解釈が複数ある箇所では、掲載訳と要点の読み方が異なることがあります。

対応する本文へ 尊者アジタが尋ねた。世の人々は何によって覆われているのですか。何によって光り輝かないのですか。何がその汚れで、何が大きな恐怖なのですか、と。

対応する本文へ 世尊は答えた。アジタよ、世の人々は無明に覆われています。物惜しみと怠りのために光り輝きません。渇望が汚れであり、苦しみが大きな恐怖です、と。

対応する本文へ 尊者アジタが尋ねた。欲望の流れはあらゆる所へ流れます。何が流れを防ぎ、何が流れを治めるのですか。何によって流れは塞がれるのですか、と。

対応する本文へ 世尊は答えた。アジタよ、世にある欲望の流れを防ぎ、治めるのは気づきです。智慧によってこれらの流れは塞がれます、と。

対応する本文へ 尊者アジタは尋ねる。智慧と気づき、そして名と形について、それらはどこで止むのですか。どうか教えてください、と。

対応する本文へ 世尊は答える。アジタよ、名と形、すなわち心身が残りなく止むところを説こう。識が止むことで、そこに名と形も止む、と。

対応する本文へ 尊者アジタが尋ねた。真理を究めた人々も、まだ学びの途上の人々も多くここにいます。賢明な方として、彼らの正しい振る舞いを私に説いてください、と。

対応する本文へ 世尊は答えた。欲望の対象を貪り求めず、心に濁りなく、あらゆる事象に巧みな智慧を持ち、常に気づきある修行者として歩みなさい、と。

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収録した訳と出典

日本語訳:関西パーリ語実習会(2023年公開版)。公開元:SuttaCentral。全5章・70経と序・結び、巻末の21詩を収録版の73単位で掲載。

訳文の文字・補足を保ち、ふりがなをこの杜が読書の補助として添えています。この杜による要点は、訳文と分けて掲載しています。

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